インボイス制度はじまる。免税事業者が準備することは?

法制度

インボイス制度が施行されたら、
免税事業者との取り引きは、辞めようかと検討しています。

株式会社東京商工リサーチが2022年12月上旬に実施したアンケートによると、インボイス制度に登録しない免税事業者との取引について、「取り引きしない」と回答した企業は、1割を超えました。今後、免税事業者との取引を中止する企業が増えるかもしれません。

そんな中で、現在免税事業者である方々は、どんな準備をしておけば良いのでしょうか?

インボイス制度によって、免税事業者の多くは、課税事業者にならざるを得なくなるでしょう。
今回は、免税事業者の方々が課税事業者になる前に、準備しておくべきことをご紹介します。

免税事業者のままだと取引も不利に!?

フリーランスや個人事業主が、企業よりも安く値段を設定することができていたのは、お客さんからもらった消費税を納付せず、収益とすることができた「益税」があったことが大きかったでしょう。
しかし、インボイス制度で課税事業者になると、「益税」としていた「消費税」は、国に納税しなくてはなりません。

そうなると、全体の収益が下がってしまいます。

免税事業者が、インボイス制度で準備することは、
サービスの安売りをやめ、適正価格でサービスを提供することです。

さらに、これまでは、免税事業者が故に取引をすることができていた企業とも、インボイス制度が始まると、取引先が消費税の控除を受けることができなくなってしまうため、免税事業者のままだと取引をやめられてしまったり、不利な取引をしなくてはならなくなったりしてしまうでしょう。

1.7ヶ月分もの収入が無くなる!?

免税事業者と課税事業者の、月の売上が50万円で、年間売上が600万円の場合の収入差をみてみましょう。(消費税率10%換算)

■免税事業者の年間収入
 月間売上50万円+益税5万円−仕入れ15万円=月間収入40万円
 年間収入は480万円になります。

■課税事業者の年間収入
   月間売上50万円−仕入れ15万円=月間収入35万円
 年間収入は420万円になります。

■免税事業者と課税事業者の年間収入差
 (免税事業者の年間収入)480万円−(課税事業者の年間収入)420万円=60万円

つまり、免税事業者の時に比べ、1.7ヶ月分もの収入が減ることになります。

個人事業主やフリーランスが、インボイス制度によって廃業してしまうニュースが出てきているのは、こういった背景があるためです。

本当の意味での経営者になる時

個人事業主やフリーランスになったのが、サラリーマンでいるよりも稼げるから、時間の融通が効くから、場所に縛られない働き方ができるから、などの理由だった方は、ここで本当の意味での経営者になる時が来たのではないでしょうか。

課税事業者になり、消費税を支払い、全ての課税事業者と同じ土俵で戦うことが強いられます。
その準備として、自分の価値と他者の価値を比べ、相場を調べたりしながらサービス価格を決めます。

値決めは経営を左右します。あまりに高くなりすぎてもいけないし、安くなりすぎてもいけません。費用対効果が高くなるように価格を設定することが、値決めのポイントです。

まとめ

インボイス制度は、益税を得ていた個人事業主やフリーランスを淘汰し、税金を支払う人を増やす、国の増税政策とも言えます。

今回のインボイス制度によって、事業を継続することが難しいのであれば、企業に所属することも選択肢のひとつです。

改めて自分の価値を考え、適正な価格でサービスを提供し、インボイス制度に備えましょう。

この記事を書いた人

まちかど社長研究員 ずーさん

380万人いると言われている日本の経営者について研究。 全国の会計士や税理士を通じ、特に従業員が5人未満で事業を営む多くの“まちかど社長”の本音や、お金の困りごとについて日々研究し、全国小さな会社の社長の知識とお金のサポートになるような新規事業開発を、日々、行っている。