社長が知るべき経理業務とは?

用語説明

経理って、どんな仕事なんだろう?
財務との違いって?

会社が使った過去のお金を管理することが、経理の仕事です。

この記事では、実は、会社の中でも重要な役割を担っている経理の仕事について、仕事内容や会社における立ち位置について、解説していきます。

「経理」ってどういう意味?

経理は、会社が使ったお金を管理し、可視化させる仕事です。

また、「経理」という言葉は、「経営管理」の略称です。
名称の通り、会社の経営管理に携わり、舵取りをすることを助ける非常に重要な仕事なのです。

経営者の仕事は3つと言われています。

  1. ①人の配置を決める
②予算を決める
③事業を決める

これらの決断をする経営者の手助けをするのが、経理の仕事です。では、具体的にどのような仕事内容なのかをご紹介します。

「経理」の実際の仕事

「経理」は、会社が使ったお金をわかりやすく管理する仕事です。どのように会社が使ったお金をわかりやすく管理しているのかをご紹介します。

請求書、見積書、領収書などを発行する(売上・仕入れ管理)

取引先へ見積書・請求書の発行をし、支払われたお金を売上として記録します。必要に応じて領収書を発行したりもします。
逆に、取引先にお金を払って商材を仕入れた場合は、仕入れとして、かかったお金を記録します。

社員のお給料の計算

社員に支払うお給料の計算を行うのも、経理の仕事です。お給料の計算をするには、社員が働いた時間や実績を、正確に把握する必要があります。

そのため、経理の仕事をする人には、数字の計算だけでなく、他の社員とのコミュニケーション能力を求められる場面もあるでしょう。

また、期日までに勤務時間の申請や、お金に関する書類の提出を行うよう社内にアナウンスするなど、指揮をとることもあります。

保険料の計算・支払い

会社は、自社で働く社員を守るために、いくつかの保険に加入していることがほとんどです。社員と一緒に支払う保険もあれば、会社が全額を支払う保険もあります。
また、毎月定額を支払う保険もあれば、年に1回保険料を支払う保険もあります。
経理は、こういった保険の種類を把握して、保険料の計算や支払いを行います。

税金の計算・支払い

課税事業者である場合は、売上に対しては税金を支払う義務があります。経理は、国に支払うべき税金の計算をし、支払いまで行います。会社の売上と、会社が使ったお金を把握した上で、税額を算出します。

理解のためのヒント: 税金について

みなさんは、国民の三大義務を覚えていますか?

「教育・勤労・納税」です。

「教育」と「勤労」については、どんなことをしたら良いのか、想像がつきやすいと思いますが、「納税」に関してはいかがでしょうか。実は、この3つの義務は繋がっているのです。

教育を受けたら、その知識を活かして勤労する。勤労をしたら、対価としてお金が支払われる。支払われたお金に対して、国に納税する…。といった具合です。

こうして支払われた税金は、また次の世代の教育等に利用されます。「納税」の義務は個人だけでなく、会社にもあります。会社という組織で行った「勤労」に対して得たお金からも、税金を支払う義務があるのです。

そのため、経理は支払うべき税金の種類を把握し、期日までに支払いを済ませなければなりません。

会社の中での「経理」の立ち位置

さて、ここまで、経理の仕事内容について解説してきました。では今度は、経理の、会社内での立ち位置を見てみましょう。

「財務」との関係は?

しばしば「経理」と混同される仕事に、「財務」があります。

「経理」が仕事で使ったお金を管理する仕事であるのに対し、「財務」は、これから仕事に使うお金を管理する仕事です。

つまり「経理」は過去のお金を、「財務」は未来のお金を管理する仕事であり、仕事内容にも大きな違いがあります。

よく、経理の仕事として間違えられやすいのが、「お金を借りること」です。これは、「これから使うお金を準備すること」なので、財務の仕事です。

他にも、財務の仕事には、会社のお金をどのように使うか計画を立てること、余ったお金をどのように活用していくかを考えたりすること、などがあります。

また、会社のお金が足りなくなってしまった時にすぐに借りられるよう、普段から銀行などと良好な関係を築いておくのも、財務の仕事の一部と言えます。

なお、財務専門の組織がある会社もありますが、小さな会社では、経理が財務を兼ねている場合もあります。

「経理」と「財務」、会社を経営する人たちとの関係

会社の中での、経理と財務、経営陣の関係と仕事の範囲を、図に表してみました。

「経営陣」というのは、会社によって異なる場合もありますが、「取締役」や「監査役」といった役員のことを指します。


このようにして、「経理」が報告した数字をもとに会社の現状を把握し、その上で会社を経営する人たちが次の作戦を立て、その作戦をもとに「財務」が作戦実行のためのお金を用意する…という関係性が成り立っています。

また、「経理」も「財務」も、報告とお金の用意をするだけでなく、計算した数字をもとに、会社をよりよくしていくには、どんなお金の使い方をしたら良いかを提案することもあります。

仕事として、ただ数字の計算ができたらよいというわけではなく、その会社の未来を考え、業務を改善していくという姿勢も必要なのです。

こうして見ると、「経営管理」という言葉が由来なだけあって、「経理」が会社の経営において、非常に重要な役割であることが、よくわかりますね。

ドラマやマンガの影響で、経理は「お金を無駄遣いしないように見張っている怖い人」といった印象を持たれているかもしれません。

しかし、それは会社のお金の使い方を改善し、会社が困った状況に陥らないようにしたい、という思いの表れなのではないでしょうか。



まとめ

経理の仕事について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。

  • 最後に簡単にまとめると、「経理」とは
  • 会社で仕事に使ったお金を管理する仕事
  • 会社で発生した売上に対してかかる税金を計算し、納める仕事
  • 会社の経営に携わる重要な仕事

だということがわかりました。

経理の仕事に役立つ資格もございますので、ご参考にしてみてください。

全商簿記
参考:http://www.zensho.or.jp/puf/examination/bookkeeping.html
全国商業高等学校協会が主催する検定試験です。主に商業高校の高校生を対象とした試験ですが、基礎的な内容を中心としており、取得することで進学や就職に役立つこともあります。

ビジネス文書実務検定
参考:http://www.zensho.or.jp/puf/examination/wp.html

全商簿記と同じく、全国商業高等学校協会が主催する検定試験です。実務に役立つパソコンの知識や、文書の作成・読み取りなどの能力に関する検定です。近年、書類のペーパーレス化や仕事のIT化が進んでおり、社会に出る上でパソコンへの入力スキルは必須と言えます。
こちらの検定に関する学習をすることで、パソコンへの入力スピードや正確さを高めることができます。

この記事を書いた人

まちかど社長研究員 ずーさん

380万人いると言われている日本の経営者について研究。 全国の会計士や税理士を通じ、特に従業員が5人未満で事業を営む多くの“まちかど社長”の本音や、お金の困りごとについて日々研究し、全国小さな会社の社長の知識とお金のサポートになるような新規事業開発を、日々、行っている。